「自分の取扱説明書を持つこと」代表・田川は何をしている人なの?[後編]

一般社団法人鳥取県地域教育推進局(以下、当法人)の代表、田川慶一郎は、鳥取を拠点に地域や学生への支援を行っている。田川さんはいつも何をしているんだろう?もっと田川さんのことを知りたい!という思いで当法人HP部で田川さんにインタビューを行った。
前編では田川の仕事内容について聞いた。後編では、そもそも今の仕事を志したきっかけに焦点を当ててインタビューを行った。

鳥取に地域教育活動を行う場のシンボルを

―――田川さんは法人設立前からコーディネートの活動をしていますが、法人を立ち上げた理由は。
田川:現在、当法人で職員をしている岡川に法人にしようと言われたのがきっかけかな。僕自身も、今後地域教育をやってみたいという人が現れたときに集まれるシンボルを作る必要があると思っていたんだよね。法人を土壌として用意することで、地域を盛り上げたい人が集まりやすい環境になってほしいと願っている。

高校時代、学校を飛び出して出会った地域の教育者

――― そもそもコーディネーターをやろうと思ったきっかけは?
田川:ターニングポイントは高校生の頃から何回かあったよ。それは、良き大人との沢山の出会いだった。『この人カッコいいな』と思える大人や、当時高校生の僕を何とか良くしてやろうという人が沢山いてくれて。親以外にも地域の人や先生、特に魚釣りの人が与えてくれた影響が大きかった。僕は当時学校に行かずに魚釣りをしに行っていたことも多かったんだけど、周りで魚釣りをしていた大人たちから『魚を釣るだけでは生きていけない』とか、色んなことを教えてもらって、何より自分のために時間をたくさん使ってもらった。当時はその意味を理解できなかったけど、年を取るほどに理解が追いついてきたね。今では自分が良き大人たちからしてもらったことを今の若い世代にも伝えていきたいと思うようになって、いまの活動を始めるようになった。

―――いいことをしてもらっていると気が付いたのは大人になってから?
田川:社会人になってから、特に当時働いていた保育園を辞めてから気づいたな。僕は保育士としても人としても未熟なことを知ったね。保育士時代は自分の思いが強すぎて、一人で仕事に取り組むことも多かった。その結果、同僚に迷惑をかけてしまい、フォローしてもらうことがよくあった。だけど仕事を辞めてから、仲間なしに一人で生きていくことはなんて生きにくいんだろうと気が付いた。それが人生の中でも大きなターニングポイントだったと思う。
そんな時に、高校生の時から見てきた良き大人たちのことを思い出した。みんな自分たちが納得して生きていることを大切にしていて、無理に自分の思い通りにしようとし過ぎなくてよいのだなと気づかされた。そこからは、自分が納得して生きていけることを大切にするように僕も変わっていった。
こういう風に、大人になってから思い出せるほどのことってなかなかしてもらえないよねって。すごくいいことをしてもらっているなとそんな時に気付いたかな。

若いうちから自分の取扱説明書を持つということ

―――自分の意志や思いを貫き通したいのは若さゆえだったんですかね。
田川:若さはあると思うよ。そのうえで、自分の取扱説明書をもっておくと良いと思うかな。それはつまり、自分の軸となるもの。別に無理に軸を作る必要はなくて、答えはすでに自分たちの中にある。だからこそ、自分について知っていると生きるのが楽になると思います。社会では仕事をする中で色んな人と関わるようになり、その時にトラブルがあっても対応できるような対応力を身に着けていくことが必要だね。

――― 田川さんは、社会人になってから周りの大人たちがしてくれたことに気が付きましたが、それはより早い段階にでも味わえますかね。
田川:挫折の重さや数によると思う。学生のうちにもそのような経験があれば、気づくことができるはず。挫折を通して自分自身と向き合い、それを支えてくれる他人の目や軽蔑する他人の目を受けて自分自身、そして対応力を理解していくようになる。もしかしたら感動も一つの気づきのきっかけになるかもしれないね。感動したときに誰が一緒にいたとか、どんな感じだったのか。結局、挫折や感動には人が必要。今はオンラインで人との関係は希薄になりがちだけど、ウチの法人では人とのつながりを大切にしたい。

自分が大切にしていることに気が付ける場

―――最後に当法人のHPを見てくれた人に一言お願いします。
田川:ぜひ鳥取に一回来てみてください。鳥取にきて、僕をはじめ沢山の地域の人とかかわる中で、あなた自身が何を大切にしているのか、何をしたいのか、見えてくると思います。僕たち鳥取県地域教育推進局ではそのお手伝いをしていきたいと思います。